目次
概要
米国株式市場の状況を把握し、今後の投資行動を考える記事です。
まずはこの記事の結果から書きます。
現在の状況 ⇒ 弱気相場です。
今後の予測 ⇒ 今週は下落を想定しています。中長期でも弱気を想定ですが、これが強気に転じるにはまずはインフレの鈍化をしっかり確認しないといけません。
株価の上昇、下落の可能性 ⇒ 下落の可能性が高いと思います。今週はFOMCがあり、その後パウエル議長の発言がありますが、0.75%発言もありえます。そうなれば株価は下落するでしょう。
今後の投資行動 ⇒ 今週は売りから入ろうと思います。中長期では株価の上昇も視野に入れていますが、今は売りでしょうか。ただし逃げる準備はいつでもしておこうと思います。
次にこの結論に至った理由を1つずつ書いていきます。
1.主要指数の動き:大幅反落
S&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の1週間の動きです。S&P500-5.05%、NYダウ-4.58%、ナスダック-5.60%、ラッセル2000-4.40%となりました。
大幅下落です。消費者物価指数が市場予想より高かったことで、インフレは継続中、FRBの利上げはまだまだ高くなることを市場が織り込んだことで、株価は下落しました。
ここまで株価が下がったことで、下落トレンドは継続中だということが確認されました。前回の安値に株価は戻りましたが、まだまだここから株価は下がる可能性はあります。株価がもちこたえているのは、米国の消費が良いこと、企業業績が底堅いことがありますが、インフレ上昇、利上げで経済が持ちこたえられないことを、市場が織り込めば、株価はもう一段安もあり得ると思います。
2.S&P500のチャート:弱気トレンド入りしそう
次にS&P500のチャートです。
MACDは下落トレンドを形成しそうです。実際半導体指数のSOXは下落トレンドをすでに形成しつつあります。ボリンジャーバンドも下向きになれば、再び下落トレンドが再開しそうです。
ただし株価が持ちこたえる微かな希望は、前回の安値、言い換えれば金曜日も終値で持ちこたえれば、株価は反発する可能性もあります。ただしなかなか厳しいことが想定されます。
3.主要指数の予想PER:買いではない
主要指数の予想PERです。S&P500の予想PERは17.65、ナスダック100は22.01、NYダウは16.94、ラッセル2000は19.89となっています(ウォールストリート・ジャーナルより参照)。
S&P500の予想PERは再び18倍を割っています。本当に株を買わなくて良かったなと思います。PERは調整してきたので割安ということを耳にしますが、割安だから買いということは、株式市場ではほとんど通用しません。割安≒株価の下落トレンド形成中ということを考えたほうが良いと思います。
4.米国10年債利回り:急上昇
株価に大きな影響を与える米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、3.165%となっています。先週は2.941%でした。
消費者物価指数が想定より悪かったことで、利上げが進むことを市場が織り込んでいます。10年債利回りの上昇により株価は下落しています。
6.FRBの動き:0.75%もあるのか
FRBの動きです。
サマーズ氏がFRBを批判、予測ミスは信認に打撃-5月CPIを受け - Bloomberg
FRB、大幅利上げ9月まで継続観測-0.75ポイントとの見方も強まる - Bloomberg
FRB、今後3会合で0.5ポイントずつ利上げへ-短期市場織り込む - Bloomberg
FRB幹部からの発言はありませんでしたが、気になるニュースは多かったです。このブログでも度々取り上げているサマーズさんの発言がありました。一言でいえば「FRB無能」です。個人的にはFRBには無能な方はいると思いますが、パウエル議長は分かっていると思います。インフレを退治するためのスタートは遅れましたが、0.50%利上げは正しい方向です。ただしインフレ上昇の主な原因であるエネルギー価格の上昇は、戦争や政治的ニュースでもあるので、FRBだけのせいではないと思います。
その他のニュースは9月に0.50%利上げを織り込んだというニュースと0.75%もあり得るというニュースです。今のところ9月は0.50%の利上げになると思います。
7.経済指標:
先週1週間の重要な経済イベント、指標です。
先週は消費者物価指数の発表がありました。結果は総合指数は予想8.3%に対し、結果8.6%。コア指数は予想5.9%に対し、結果6.0%。総合ではインフレは進んでいます。がコア指数は鈍化傾向が見られます。
総合指数の上昇は主にエネルギーと食料価格の上昇が原因です。エネルギーと食料価格は、FRBのコントロールが間接的にしか及ばない分野でもあります。
インフレの上昇トレンドは終わっていない可能性が示唆されたことで、FRBの金利引き上げが意識されています。が、コア指数は下落しています。世間からの利上げ圧力は一生高まるでしょうが、大幅な金利引き上げは経済への悪化が懸念されます。
今週の重要な経済イベント、指標です。
8.米国家計の債務返済比率:歴史的にはまだ低いが、じわじわと上昇傾向
米国の家計の債務返済比率です。2021年第4四半期時点で9.34となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.34は歴史的に見てもまだ低い水準です。貯蓄率は少しづつ減っていますが、リーマンショックのように最悪な状況ではないと考えられます。ただし現在、高インフレが家計を圧迫していると見られ、少しづつ悪化、上昇しています。
9.今後の企業EPS:企業業績は強いが、見通しはやや懸念
今後の企業業績について考えます。
企業業績は好調です。インフレで売上高が上昇しているのか。ただし先行きの懸念は残ります。今はなんとか持ちこたえているものが、少しづつ決壊していく状況も想定できます。
10.まとめ:今後の米国経済と株式市場とVTI
これまでの事実を考察し、もう一度今後の米国株式市場について考えてみます。
現在の状況 ⇒ 弱気相場です。
今後の予測 ⇒ 今週は下落を想定しています。中長期でも弱気を想定ですが、これが強気に転じるにはまずはインフレの鈍化をしっかり確認しないといけません。
株価の上昇、下落の可能性 ⇒ 下落の可能性が高いと思います。今週はFOMCがあり、その後パウエル議長の発言がありますが、0.75%発言もありえます。そうなれば株価は下落するでしょう。
今後の投資行動 ⇒ 今週は売りから入ろうと思います。中長期では株価の上昇も視野に入れていますが、今は売りでしょうか。ただし逃げる準備はいつでもしておこうと思います。