目次
- 1.VTIと主要指数の動き:週初は反発もCPI発表で下げる
- 2.VTIのチャート:200日移動平均線を下回ったまま
- 3.主要指数の予想PER:20倍程度がこれからの水準か
- 4.米国10年債利回り:一時的に2%を超える
- 5.FRBの動き:タカ派発言もFRBの行動はまだ明確でない
- 6.経済指標:予想を上回るインフレ
- 7.米国家計の債務返済比率:ここはまだ大丈夫
- 8.今後の企業EPS:企業業績は好調
- 9.まとめ:今後の米国経済と株式市場、そしてVTI
米国株式市場の状況とVTIの動きを考察し、今後の投資行動の基にしようという記事です。まずは結論を述べたいと思います。今週に関しては弱気に見ています。先週金曜日に大幅下落したことで、今週には前回の安値付近を試す展開が起こってもおかしくないと考えています。
しかし投資行動としては状況次第で、少し買い増すことを考えています。具体的にはVTIの株価215あたりにくれば、他の銘柄も含めて買う予定です。現在株式70%、キャッシュ30%ですが、もし株価が下がれば2.5〜5%程度株式の比率をあげようと思います。
次にこの結論に至った要因を1つずつ書いていきます。
1.VTIと主要指数の動き:週初は反発もCPI発表で下げる
まずはVTIとS&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の先週1週間の動きです。
VTI-1.38%、S&P500-1.82%、NYダウ-1.00%、ナスダック-2.18%、ラッセル2000+1.52%となりました。株価は週初から反発していましたが、注目の消費者物価指数が高かった上に市場予想も上回る結果となったことで、結局下げて終わりました。
ただし注目はラッセル2000でプラスで終えています。小型株はかなり売り込まれていたので、反発しているのかもしれません。歴史的に見てもPER水準は低い状況です。
2.VTIのチャート:200日移動平均線を下回ったまま
次にVTIのチャートです。
なかなか200日移動平均線を超えられません。しばらくは厳しい状況が続くかもしれません。結局、時価総額の大きなナスダック系のアップル、マイクロソフトのあたりが上昇しないと指数も上昇しません。ナスダック復活≒VTIなどの指数復活くらいに考えたほうがよいかもしれません。
3.主要指数の予想PER:20倍程度がこれからの水準か
主要指数の予想PERです。ウォールストリート・ジャーナルより参照しています。S&P500の予想PERは20.05、ナスダック100は25.56、NYダウは18.74、ラッセル2000は22.63となっています。
S&P500の20倍程度は歴史的にみても高くはありません。ただし安くもありません。このあたりがこれからの落ち着く水準になるのかもしれません。
4.米国10年債利回り:一時的に2%を超える
株価に大きな影響を与える、投資の大事な指標の米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、1.918%となっています。
一時的に2%を超える水準にまで上昇しました。ただし終値は1.9%台です。かなり急ピッチで金利が上げています。ただし2年債の短期金利のほうが上昇が急です。長期金利は一時的にも下げることがあります。
市場の2022年6月15日時点の政策金利予想です。一番高い予想金利は1.00〜1.25%で60.7%となっています。前回は10.3%でした。次に高い予想金利は1.25〜1.50%で31.3%となっています。前回は0%でした。
急激に市場予想の政策金利が上昇しています。さらに高くなったCPIを受けてのことです。高いインフレを抑えるためにFRBは金利を上げざるを得ない、という風に受け止められています。図は載せていませんが、市場は3月の0.5%利上げを織り込んでいます。
市場の2022年12月14日時点の金利予想です。
一番高い予想利回りは1.75〜2.00%で35.2%となっています。前回は7.5%でした。次に高い予想利回りは1.50〜1.75%で25.4%となっています。前回は23.6%でした。こちらも上昇しています。
5.FRBの動き:タカ派発言もFRBの行動はまだ明確でない
FRBの動きです。FRB幹部によるタカ派発言がでています。「緊急会合もありえる」「7月までに1%」という趣旨の発言でした。この発言も市場の金利予想を引き上げた要因です。ただしブルームバーグ記事に
FRB、0.5ポイント利上げや緊急行動になお慎重-インフレ高進でも - Bloomberg
という記事がでています。記事によると、中道派の幹部は3月の0.5%の利上げには慎重のようです。結局、今後のインフレ動向も、利上げの道筋もどうなるのかわからない、ということでしょうか。市場はFRBが何を考えているのか、どういう行動を取るのか、そういったことを知りたいと思うのですが、FRBは一致したメッセージを出せていない状況です。
現時点でインフレは確かに高いです。一方で2022年後半になると、前年比ベースでは低い数値となる可能性もあります。また下手に大幅な利上げを開始すると、景気を腰折れさせかねません。そのあたりのバランスが非常に難しいものになっていることが窺えます。
7.米国家計の債務返済比率:ここはまだ大丈夫
米国の家計の債務返済比率です。2021年第3四半期時点で9.21となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.21は歴史的に見ても低い水準です。現在、消費意欲は旺盛で現在はもう少し上昇していると思いますが、まだまだ安全だと思います。
現実にどういう問題が起きているかというと、「賃金の上昇が起きて家計にお金が流れている」、「インフレは起きているが、お金を使いたくても供給の制約があって使えない」、「コロナが長引いて思ったように外出できず買い物の機会がない」という状況になっていると思われます。
8.今後の企業EPS:企業業績は好調
今後の企業業績について考えたいと思います。
図は古いですが、企業業績は好調です。基本的に経済は良いと思います。ただし金利の行方次第で株価は下落してもおかしくないです。
9.まとめ:今後の米国経済と株式市場、そしてVTI
これまでの事実を考察し、今後の米国株式市場とVTIについて考えてみます。いくつかのシナリオがあると思います。
今週に関しては弱気に見ています。VTIでいうならば、前回の安値215あたりまで下落してもおかしくはないと考えています。ただし行動としては株を売ることはしません。むしろ状況次第では、少量だけ買い増そうかと考えています。現在株式70%、キャッシュ30%ですが、2.5~5%くらい株を買うかもしれません。VTIが215あたりまで下がれば、他の銘柄も含めて買向かうと思います。
また3ヶ月後ですが、こちらは横ばいを見ています。今のPER20倍くらいがこれからの基本水準になるのかなと考えています。現在インフレが高いことはわかっています。一方で逆の方向、インフレが収まる兆しを見せる可能性もみておきたいです。2021年4月にインフレ率は4.2%に急上昇しています。ですから、そのあたりから前年比で見た場合、下落する可能性があります。
そうなれば株価は上昇する可能性もあり、悲観一色になることも考えものだと思います。ですから3ヶ月後〜中期では横ばいを予想しています。ですからそれに向けて下げたところでは買い、一度に買うのではなく、少しづつ買うと考えています。