ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

日本たばこ産業(JT)の減配の可能性について考えた

日本たばこ産業JT)の配当金の持続性について考えてみました。

私はJT株を保有していますが、心配いることは「減配」です。

JTは過去に、16気連続増配と素晴らしい記録を達成していますが、それは過去の話で2021年に減配をしています。

減配をすると当然ながら、JT株ホルダーは受け取る配当金が減ります。

そうなると困るということで、JTが減配する可能性について考えてみました。

 

結論

記事は長いのでまず結論を書きます。

JTが減配になる可能性はある、ということです。

ただし必ず減配になるというわけではなく、2つの減配リスク「ロシア事業」「為替変動(円高)」に注意しておくことが大事です。

 

過去の配当金推移

まずは過去の配当金の確認です。2019年154円、2020年154円、2021年140円、2022年188円(会社予想)となっています。

配当 | JTウェブサイト

2019年までは16期連続増配をしています。

 

減配のリスク要因は2つ

では、JTの決算資料より具体的な説明にいきます。

2022年12月期 第3四半期 決算説明会資料(CFOプレゼンテーション)

私は2つの減配リスクがあると考えています。

1.ロシア事業

2.為替変動

です。

「おや、たばこ事業の減少はないのか」という声が聞こえそうですが、私は意外にもJTにとってたばこ事業は安定的であり、ロシア事業や為替変動のリスクほど、たばこ事業にリスクはないと考えています。

理由は後述します。

 

ロシア事業のリスク

まずJTはロシア事業についてどう考えているのか。決算資料の一部を抜粋します。

・ロシア・ウクライナ情勢が長期化、複雑化する中、国内外におけるあらゆる制裁措置を順守した上で、事業運営を継続
• 引き続き、経営理念である4Sモデルに則り、必要な意思決定を行っていくことにより、この難局に対処していく

JTとしてはとりあえず、法令遵守を徹底しながらロシア事業を継続していく姿勢です。

ただし、ロシア事業に関しては、JTという一企業には手に負えない問題があります。

もはや国という枠すら超え、西側諸国VSロシアという構造になっていて、かなり根深いものがあります。

ですから正直なところ、「どうなるか分からない」というのがJT経営陣の本音であると思います。

アメリカやEU、日本の政治首脳にも分からないのではないでしょうか。

近頃、EUがロシア産原油の上限設定を決めましたが、そこまで踏み込んだ内容ではありませんでした。

少し対ロシア制裁が弱くなってきたのかなという感じも受けますが、これはエネルギー価格の問題も含んでおり、曖昧な決定といえます。

 

ではロシア事業はJTの業績にどれほど影響があるのか。

再びJTの決算資料からです。

2022年12月期修正連結業績見込において、当社グループ全体の売上収益及び調整後営業利益にロシア市場が占める割合はそれぞれ約11%、約21%

売上は11%、利益は21%です。

かなり高い割合だと思います。

仮にですが、明日にでもロシア事業が瞬時にして消えてしまうと、売上の11%、利益の21%が消えます。

まあ現実にそれはないのですが、撤退となると売上は減るでしょうし、利益も稼げません(資産売却などで一時的な利益はでるかもしれないが)。

もし撤退となれば、減配をなる可能性はあります。

ただし先ほどから書いていますが、ロシア事業はどうなるのかわからないので、「このまま継続する」という可能性もあります。

ですから、結論としては「もしロシア事業からの撤退となれば減配の可能性はある」とします。

 

為替変動のリスク

次の減配リスクは為替変動のリスクです。

ちなみに為替変動リスクとは、具体的には「円高」になることです。

今は円安なのでJTは大きく儲けることができ、それが増配にも繋がっています。

逆に円高によりJTが減配となる可能性は、十分に考えられます。

まずJTの為替変動についての見解です。

売上収益・調整後営業利益(財務報告ベース)
• 一層の円安進行を受けて前回見込より大幅に上方修正

円安が進行したので売上利益がアップしたということですね。

これは言い換えると、円高が進むと売上利益がダウンするということです。

12月7日現時点では円高が進行しています。

一時期150円を超えたドル円相場は、137円までに変動しています。

これは明らかにJTの業績を下方に押し下げます。

そもそも円安の大きな理由は、アメリカやEU、日本の金融政策の違いでした。

その原因も今は状況が変わり、逆に円高方向に振れています。

為替はかなり変動が大きく、先行きがわかりません。

このまま円高方向に動いていくという可能性は否定できません。

その可能性があるため、2022年のJTの業績は円安により恩恵を受けたかもしれませんが、2023年のJTの業績は円高により逆風を受ける可能性があります。

ですから、結論としては為替の変動はJTの配当金を減配させる可能性がある、ということができます。

 

たばこ事業について

まとめに移る前にJTのたばこ事業について書いておきます。

冒頭で「私は意外にもJTにとってたばこ事業は安定的であり、ロシア事業や為替変動のリスクほど、たばこ事業にリスクはないと考えています」と書きました。

そう考える理由ですが、一言でいうと「為替の変動などを除いた実質的なたばこ事業の売上は上昇しているから」です。

JTの決算資料によると、たばこの販売数量は2%程度の減少のようですが、値上げによってたばこの売上は3.9%上昇しています。

数量減少を値上げによってカバーすることはここ何年も続いる傾向です。

また資料を読んでいると、海外でのJTのたばこ事業はシェアを伸ばしている地域も多く、日本でたばこ減少のイメージがあるからといって、JTの全世界のたばこ売上も減少していると考えるのは間違いです。

ですから為替の変動やロシア事業の継続などを除いた、純粋なたばこ事業に関しては、来年にでも減配となるような要因にはならないと考えています。

それよりも為替やロシア事業のほうが直近の減配リスクでしょう。

 

まとめ

最後にまとめです。

JTの減配リスクは2つ。

ロシア事業と為替変動(円高)。

上記の2つを除いた、たばこ事業については直近の減配リスクではない。

減配リスクはあるが、必ずしも実現することではないので、2つのリスクに注意する。

以上です。