2022年は高インフレとそれに伴うFRBの政策金利の引き上げから、アメリカの代表的株価指数であるS&P500の動きは下落しています。ただし株価は下落中に強烈な反発を起こすなど、簡単な展開ではないです。
そこで今よりも激しい高インフレ、そしてFRBによる政策金利の急激な引き上げが起きた、1979〜1985年を参考にしようと考えました。「FRB政策金利」「消費者物価指数」「S&P500」の推移を抜き出しました。今の株価の動きを知る上で、何かの参考になることを願っています。
☆この記事のポイント☆
過去の推移を見ると、
・FRBは消費者物価指数がピークした後も、政策金利を引き上げることがある。
・ただしFRBは景気後退が起こると政策金利を引き下げる傾向にある。
・S&P500(株価)は消費者物価指数とは連動していない。かといってFRBによる政策金利が変更されても、すぐに株価が動くわけでもない。政策金利が引き下げられても株価が上昇するとは限らない。
・株価は景気後退などFRBの政策金利以外のことも加味して動いている。
・消費者物価指数とFRBの政策金利が落ち着いてくると、株価は相当な上昇を始める。
消費者物価指数
参考サイト「investing.com」
S&P500
参考サイト「investing.com」
消費者物価指数がピークしてもFRBは政策金利を引き上げることがある
この3つのデータですが、読み解くヒントはいくつかあると思います。特に私が気になったのが「消費者物価指数がピークすると、FRBは政策金利をすぐに引き下げるのか」です。2022年8月21日現在、とても気になるテーマです。
1980年前後の場合を考えると、消費者物価指数は1980年4月に14.80%でピークしました。そのとき1980年4月のFRBの政策金利は17.61%でした。その後、FRBはすぐに政策金利を引き下げています。1980年7月には9.03%にまで下落しています。このとき米国は景気後退期に入っていたため、FRBは政策金利を引き下げたと思われます。
1980年4月以降、消費者物価指数は右肩下がりで下げ続けますが、FRBは景気後退期が終わると、再び政策金利を上昇させています。1980年7月9.03%から1981年1月には19.08%まで上昇しています。
このときは消費者物価指数が下がり続けていたにも関わらず、FRBは政策金利を上げ続けました。ですから教訓としては「消費者物価指数がピークしたからといって、FRBがすぐに政策金利を上昇させることを止めたり、下げるとはいえない」です。
ですから、2022年に当てはめると消費者物価指数は7月でピークした可能性がありますが、FRBによる政策金利の引き上げが終わった、もしくは下げ始めるはいえません。ですから今の株式市場の期待は、期待外れに終わることも十分に考えられます。