ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

60/40戦略、これから息を吹き返すか

個人投資家によいとされてきた伝統的な戦略「60/40戦略(株式60%国債40%)」は2022年に入り、−10%のパフォーマンスとなっています。2022年は株式も国債も下落が続いています。


この戦略のポイントは「株価が下落しても国債部分が上昇して相殺する」「国債が下落しても株価が上昇して相殺する」という、全体的に安定したポートフォリオになること。しかし今は、株式も国債も下落している状況です。この戦略の前提が崩れている今、60/40戦略に未来はあるのでしょうか。


www.bloomberg.co.jp


☆この記事で言いたいこと☆

2022年に入り、60/40戦略は良いパフォーマンスを出していない。この伝統的な戦略は終わったとする声も聞かれるが、これからの景気後退などいろいろ場面を想定すると、この戦略が終わったと決めつけるには早すぎる。


60/40戦略が効果を発揮するとき

まずこの戦略が効果を発揮するときを考えます。


この戦略が効果を発揮するときは、「株価が大幅に下落するとき、国債価格が上昇することによって株式の下落分を吸収できる」。最大のポイントは「リーマンショックやコロナショックのような株価急落のときに、株式は下がるが国債は上昇するので、100%株式戦略より下落幅が小さい」。


例を出すと、「株価が100から50に下がったとき、100%株式では資産は100から50に減るが、60/40戦略は100から90にまでしか減らない」。あくまで例で数値はイメージですが、このような場面こそがこの戦略の強みです。


リーマンショックやコロナショックでは、まず資金が株式から逃げます。そして向かう先は国債などの安全資産です。また中央銀行国債買い入れを行いますから、国債価格は上昇しやすいです。ですから、60/40は危機時に強い戦略なわけです。


次に危機が終わり株価が上昇し始めると、60/40戦略は100%株式より上昇率は小さくなります。しかし危機時に大きく下げなかった分、パフォーマンスは結果的に100%株式とあまり変わらない、というわけです。


今年はインフレが特殊要因か

ただし2022年はこの戦略が全く機能していません。S&P500は年初来で−10.12%、米国債の代表的なETFである「IEF」も−10.11%と株価も国債も同じように下落しています(2022年8月18日現在)。


今年はインフレが発生し、FRBが利上げを行っているので株価も国債価格も下落しています。60/40戦略にとって非常に厳しい時期となっています。


60/40戦略が終わったと決めつけるには早すぎる

しかしこの戦略はまだ終わったとするには早すぎます。というのも、インフレが収まったときに国債価格がどう動くかを予測すると、60/40戦略はまだ終わってとは言えないと考えることができるからです。


インフレが終わり、FRBによる利上げの停止はいずれ訪れます。そのときには、利下げ余地が生まれています。言い換えると、国債価格の上昇余地も生まれるということです。景気後退が起こり、それにFRBが対応して利下げすると国債価格は上昇します。


ただし本質はここではありません。


何より大事なのは、これからもリーマンショック、コロナショックのような「〜〜ショック」は起こり得るということです。株価急落、国債価格上昇という場面がいずれ来ることは想定されます。「〜〜ショック」は歴史的な必然といえるかもしれません。


「〜〜ショック」は歴史的に繰り返す現象だと想定されるので、60/40戦略が終わったと決めるには早すぎると考えられるのです。