ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

景気悪化が見込まれるのに、株価が上昇する不思議さ。

株価の上昇が止まりません。S&P500は1ヶ月で+11.23%と大幅上昇しています。一方で米国の経済指標は悪化するものが目立っています。NY連銀製造業指数は−31.3と、前月の11.1から大幅に悪化しました。


www.bloomberg.co.jp


現在、先行きの景気悪化が見込まれていますが、景気の先行指数と言われる株価は上昇しています。株価が示すところが正しければ、景気は悪化せずに回復するのでしょうか。経済指標を見る限り、回復の気配はあまりありません。株高と経済指標。矛盾しているのが、今の株価上昇といえます。


☆この記事で言いたいこと☆

米国の経済指標は悪化しているのに、株価が上昇しているのはなぜか。FRB政策金利を上げることを考えると、株価への警戒はまだ必要。

株価はFRBの動きを先読みしている

株価が上昇している理由に挙げられるのが、「今、FRBは利上げを行っているが、市場が考えているほど利上げしない。もしくは利上げペースを落とす」という説です。


この説の根拠は先ほど発表された、米国の消費者物価指数が予想以上に減速したこと。インフレはピークを過ぎたので、FRB政策金利をそこまで上げなくていい、ということを背景にしています。


FRB政策金利を上げることは、インフレを抑えることに繋がりますが、一方で景気の悪化を招きます。インフレもピークに達したので、景気悪化を招く利上げをFRBは積極的に行わない、という論です。

今の株価上昇には危うさを感じる①

確かにこの論にはある程度の説得力があります。FRBは年初には「インフレは一過性」として積極的な利上げの姿勢は見せませんでした。利上げは政治家にも国民にも景気にも不評です。元来の性質として、FRBは積極的に利上げをすることに及び腰なのかもしれません。


ただし過去のインフレを見ると、インフレはしつこく続く性質があるようです。米国の1970〜80年代のインフレは、1980年代にボルガ−議長が政策金利を20%近くに上げるまで収まりませんでした。


現在2.25%付近に政策金利を上げただけで、8%のインフレが収まるのか。FRBの最近の発言から見ると、政策金利をまだ上げる予定のようです。それが現実となるのなら、政策金利を上げる状況で、株価が上昇することには違和感を感じざるをえません。


今の株価上昇には危うさを感じる②

また冒頭の話に戻りますが、景気悪化が見込まれていることと、株価上昇は繋がりません。景気が悪化して株価が上昇するのは、そこにFRBによる金融緩和があればこそ。景気悪化とFRBによる金融引締めの組み合わせは、本来なら最悪のはずで株価下落を招くのが普通です。


景気悪化は企業業績の低下につながり、もっといえばPER水準の変化にもつながります。業績悪化=PERの下落が予測されるなか、やはり株価上昇には危うさを感じます。


ではどう対応するか

将来に危うさがあるのなら、どう対応するのか。あくまで私個人の場合ですが、やはり現金の割合を高めることが一番ではないでしょうか。株価の二番底に備え、下落に備えると同時に下落したところで買う、というスタンスで臨もうと考えています。


一方で株価が下落するかもしれないという予測が外れる場合があります。言いかえれば、このまま株価が上昇する、もしくは横ばいも考えられます。


それに備えるために、株をすべて売ることはしません。今の株価上昇は未来を正しく予測して、将来の景気悪化はないのかもしれません。このまま株価が上昇することも視野に入れておきます。


今の株価上昇は正しいのか、間違っているのか。非常に難しいですが、投資家としては身構えて置こうと考えています。