ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

【5月30〜6月3日・米国株1週間】マイナスだったが弱くはなかった。10年債利回りは急上昇。

目次

概要


米国株式市場の状況を把握し、今後の投資行動を考える記事です。


まずはこの記事の結果から書きます。


現在の状況  ⇒  株価は下がりましたが、意外に強いなという印象。ただしどちらに動くかはわからないです。


今後の予測  ⇒  非常に難しいです。金曜日の消費者物価指数がかなり大事な指標で、今後の流れを作る出来事となるかもしれません。下がれば株高、上がれば株安でしょう。


中長期にもわからず、やはり経済指標を1つ1つ丁寧に見ていき、そのときそのときで判断するしかないのかもしれません。


株価の上昇、下落の可能性  ⇒ 両方ある。


今後の投資行動  ⇒  とりあえずドル買い円売りポジションを持つことかなと思います。株はどちらに行くかはわかりません。株は上方向に一方的に進行するという場面にはなれないと思っています。ここはやはり中央銀行のスタンスがはっきりしているドル買い円売りポジションが良いと思われます。


株を買うとすれば中国株。国策が期待できる中国株はよいと考えています。


次にこの結論に至った理由を1つずつ書いていきます。


1.主要指数の動き:マイナス


S&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の1週間の動きです。S&P500-1.20%、NYダウ-0.94%、ナスダック-0.98%、ラッセル2000-0.26%となりました。

Investing.comより参照


1週間ではマイナスとなりました。金曜日の雇用統計まではプラスを保っていましたが、強い雇用統計が発表されたことで、株価はマイナスへと転じました。ただし10年債利回りが急上昇した割には、株価はそこまで弱くならなかった印象があります。


今の株式市場には少しだけ、追い風が吹いていると思います。テクニカル的に大きく下げてきたものが反発したことによる、弱気になり切れない部分が出ているのかもしれません。ファンダメンタル的にはやはり米国経済が堅調であるという認識が、企業業績への期待となり、ある程度の株価への耐性となったのかもしれません。


2.S&P500のチャート:


次にS&P500のチャートです。

Investing.comより参照


この1週間はほとんど横ばいでした。チャート的には上にも下にも、どちらにもいけそうな感じがします。MACDは上向きですが、ピークを付けた可能性もあります。チャート的には判断は難しいです。


3.主要指数の予想PER:


主要指数の予想PERです。S&P500の予想PERは18.05、ナスダック100は22.75、NYダウは17.36、ラッセル2000は20.12となっています(ウォールストリート・ジャーナルより参照)。


PERは年初からかなり調整が進んでいます。ただしここが底とはまだ言えないです。


4.米国10年債利回り:急上昇


株価に大きな影響を与える米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、2.941%となっています。先週は2.743%でした。

Investing.comより参照


先週は10年債利回り、国債の動きが激しかったです。10年債利回りがここまで動いたのに株価が下がらなかったのは、10年債利回りの動きに耐性がついたからでしょうか。ただし時間差で来る可能性もあります。


10年債利回りが急上昇した背景には、FOMC議事録で市場が「6,7月以降は大きな利上げはない」と行き過ぎた解釈をしたことへの反動があります。FRB幹部が9月の利上げ停止は可能性は低いと言ったことからわかるように、インフレはいまだ存在していて、FRBは退治に躍起になっています。


その動きが10年債利回りの急上昇へと反応しています。これからどう動くかは、今週の金曜日に発表される消費者物価指数によると思います。


5.市場が見る政策金利予想:上方修正


市場の2022年9月21日時点の政策金利予想です。


一番高い予想金利は2.25〜2.50%で62.8%となっています。前回は34.6%でした。次に高い予想金利は2.00〜2.25%で30.7%となっています。前回は60.4%でした。

cmegroupより参照


市場の2022年12月14日時点の金利予想です。


一番高い予想金利は2.75〜3.00%で57.0%となっています。前回は32.7%でした。次に高い予想金利は2.50~2.75%で25.3%となっています。前回は58.8%でした。

Investing.comより参照


市場が見通す市場金利は、かなり上方にシフトしました。先程も書きましたが、市場は6,7月以降の利上げを下方に見ていたものが、上方に修正されています。12月に2.75〜3.00%というのも正直信じられないのですが、インフレ率は実際に8.3%です。これを抑えるにはやはりある程度の利上げが必要なのだと思います。


6.FRBの動き:9月利上げはある可能性が濃厚


FRBの動きです。


FRBブレイナード氏、米利上げ9月休止の可能性「非常に低い」 - Bloomberg

FOMC、9月以降の利上げペースは物価統計次第-メスター総裁 - Bloomberg

FRBがバランスシート圧縮開始-コロナ禍対応で8.9兆ドルに拡大 - Bloomberg


タカ派なコメントが増えています。副議長のブレイナードさんがかなりタカ派コメントをしたことが、ビッグニュースだと思います。ハト派と思われていたブレイナードさんが、ここまでタカ派よりのコメントをすることが、FRBの決意やインフレの深刻さを物語っているように感じます。


メスター総裁はインフレ指標次第と言っていて、そういう意味でやはり今週の消費者物価指数は非常に大事なイベントです。


FRBの資産圧縮の開始です。実際にこういう出来事が起きると、米国債の売り圧力がじょじょに効いてくるものなのでしょうか。そうなるとやはり米国債売り、ドル買い円売りのポジは大切だなと思います。


7.経済指標:雇用統計は強かった


先週1週間の重要な経済イベント、指標です。

外為どっとコムより


ISM製造業景気指数は予想を上回りました。ここは少し安心で、リセッション懸念を若干、遠のかせる指標でした。ISM非製造業景況指数は予想を下回りました。ここは懸念材料です。ただし中身をみると新規受注などは上がっているようです。


雇用統計は非常に強い内容でした。とりあえず、インフレ懸念からくる金利上昇などあるかもしれませんが、雇用が順調なら経済は最大の悪化にはならないかもしれません。JPモルガンのジェレミーCEOがいう「経済のハリケーン」というような状況にはならないかもしれません。

外為どっとコムより
8.米国家計の債務返済比率:歴史的にはまだ低いが、じわじわと上昇傾向

米国の家計の債務返済比率です。2021年第4四半期時点で9.34となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.34は歴史的に見てもまだ低い水準です。貯蓄率は少しづつ減っていますが、リーマンショックのように最悪な状況ではないと考えられます。ただし現在、高インフレが家計を圧迫していると見られ、少しづつ悪化、上昇しています。


9.今後の企業EPS:企業業績は強いが、見通しはやや懸念


今後の企業業績について考えます。

FACTSETより参照


ターゲットやウォルマートが利益率の悪化を見通していますが、これが全体かと言われるとそうではないです。これから金利が引き上げられても、これまでのように業績を上げていけるのか。問題はそこだと思います。ただし雇用が良いので、企業業績もそこそこ堅調を維持すると思われます。


10.まとめ:今後の米国経済と株式市場とVTI


これまでの事実を考察し、もう一度今後の米国株式市場について考えてみます。


現在の状況  ⇒  株価は下がりましたが、意外に強いなという印象。ただしどちらに動くかはわからないです。


今後の予測  ⇒  非常に難しいです。金曜日の消費者物価指数がかなり大事な指標で、今後の流れを作る出来事となるかもしれません。下がれば株高、上がれば株安でしょう。


中長期にもわからず、やはり経済指標を1つ1つ丁寧に見ていき、そのときそのときで判断するしかないのかもしれません。


株価の上昇、下落の可能性  ⇒ 両方ある。


今後の投資行動  ⇒  とりあえずドル買い円売りポジションを持つことかなと思います。株はどちらに行くかはわかりません。株は上方向に一方的に進行するという場面にはなれないと思っています。ここはやはり中央銀行のスタンスがはっきりしているドル買い円売りポジションが良いと思われます。


株を買うとすれば中国株。国策が期待できる中国株はよいと考えています。