ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

【5月16〜20日・米国株1週間】弱気相場の継続か、反発の期待も上か下かの判断は難しい。

目次

概要


米国株式市場の状況を把握し、今後の投資行動を考える記事です。この記事は米国株のことをもっと知りたい、いい加減初心者を脱したい投資歴15年以上の投資家が書いています。ですので自分と同じ初心者を脱し、さらに極みを目指すハードな方に読んでもらいたい記事です。記事を読んでもらうといろいろな視点から見ることができると考えています。


まずはこの記事の結果から書きます。


現在の状況  ⇒  弱い。株価は反発も期待できますが、やはり弱い状況に変わりはないと思われます。急落を見ると、まだ終わっていないのかなと感じます。


今後の予測  ⇒  今週は反発も期待できますが、弱さは燻り続けると思います。株価は反発しても再び下落する、という流れは続く可能性があると考えています。中長期では株価が上昇する可能性は出てくると思いますが、短期的にはかなり難しい相場になると私は考えています。


株価の上昇、下落の可能性  ⇒  今週は反発する可能性はあるとも思います。ただしその後、例えば今週に上昇しても来週、再来週に下落するということは普通にありえると考えています。はっきりとした方向性はわからないし、その判断は難しいと考えています。


今後の投資行動  ⇒  今週は株を売ろうと考えています。現在8割ほど株を持っていますが、これを減らします。株価がまだ下がる危険を感じてきましたので、株の割合を減らします。中長期では株は上昇する可能性はあります。それがいつかはわかりません。


株価が上る可能性は排除せずとも、下がる可能性もかなりあるので、リスクリウォード的にかなり分が悪いと考えます。株を買うのだったら、為替でドル売り円買いポジションを持ったほうが良いのかなと考えています。


次にこの結論に至った理由を1つずつ書いていきます。


1.主要指数の動き:大幅反落


S&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の1週間の動きです。S&P500-3.05%、NYダウ-2.90%、ナスダック-3.82%、ラッセル2000-1.36%となりました。

Investing.comより参照


大幅安です。今は非常に変動率が高く、乱高下しています。先週は一度反発しましたが、再び下落。その下落分を取り戻せないまま終了しました。ただし金曜日は終値にかけて株価が盛り返してきました。


ウォルマート、ターゲットという小売大手の決算見通しが悪かったことが相場の重しになりました。仕入れ値の上昇や人件費の高騰で、利益率が悪くナウルという見通しです。インフレの波が企業決算に及ぼし始めているという流れです。小売業だけの話ではなくなる、という連想でしょうか。


やはり弱気相場は継続しているようです。


2.S&P500のチャート:MACDはクロス気味もまだ分からない


次にS&P500のチャートです。

Investing.comより参照


S&P500のチャートです。50・200日移動平均線を下回って、弱気相場は継続しているように見えます。ボリンジャーバンドも下向きです。一方でMACDがそろそろ下から上に向けてクロスするかもしれない、さらに金曜日の下値を持ちこたえたことにより、下値堅めができたのかなと考えたりします。


ただし希望的観測なので、なかなか難しい判断になります。


3.主要指数の予想PER:かなり低くなったが、ここからの判断は難しい


主要指数の予想PERです。S&P500の予想PERは17.15、ナスダック100は21.37、NYダウは16.53、ラッセル2000は19.70となっています(ウォールストリート・ジャーナルより参照)。


かなり下がってきました。PER的には割高感は全く無いです。かといって過去の平均からみて、割安感もないです。


4.米国10年債利回り:急落、国債に資金が流れる


株価に大きな影響を与える米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、2,788%となっています。先週は2.928%でした。

Investing.comより参照


急激に下落しました。ニュースでは「国債への質への逃避」など書かれています。個人的には、インフレ鈍化によりFRB金利引き上げが遅くなるということではないかと考えています。理由はともあれ、10年債利回りは下落しています。


5.市場が見る政策金利予想


市場の2022年6月15日時点の政策金利予想です。


一番高い予想金利は1.25〜1.50%で94.9%となっています。前回は92.5%でした。次に高い予想金利は1.50〜1.75%で5.1%となっています。前回は7.5%でした。

cmegroupより参照


市場の2022年12月14日時点の金利予想です。


一番高い予想金利は2.75〜3.00%で49.2%となっています。前回は35.7%でした。次に高い予想金利は2.50~2.75%で39.2%となっています。前回は52.4%でした。

cmegroupより参照


政策金利を6月に0.50%利上げし1.25〜1.50%に持っていくのは確実でしょう。パウエル議長が何度も発言しています。7月もおそらく0.50%利上げだと思われます。問題はこの利上げペースで、株価が耐えられるのか。今の市場が考えている基本シナリオは、6.7月に0.50%ずつの利上げ、さらにその後も、0.50%を含む利上げをするシナリオです。


仮の話ですが、もしインフレが急激に鈍化すれば、FRBは利上げをせずにすみます。現時点で12月は2.75〜3.00%の利上げですが、FRBが利上げペースを遅らせて2.00〜2.25%の利上げにとどまれば、株価は急回復すると思います。


逆にインフレが高いままだと利上げペースはこのまま進むか、もしくはさらに利上げペースが高まり、株価がもっと下落すると思います。


やはりインフレ動向に注意ということです。


6.FRBの動き:FRBの方向性は決定


FRBの動きです。


パウエル議長、「明確で納得できる」インフレ後退まで利上げ継続 - Bloomberg

ブラード総裁、FRBに「適切な計画」ある-0.75ポイントに言及せず - Bloomberg


パウエル議長が「明確に納得できる」水準までインフレが下がるまで利上げ継続と言っています。FRBの方向性に関しては、かなり定まってきたのかなと考えています。


個人的な愚痴ですが、この言葉を年初に言っていれば、今のインフレ状況はかなり違ったものになったと思いますし、株価もここまで下落せずに済んだのかもしれません。というかおそらくそうなっていたでしょう。ただFRBは遅きに失した感はありますが、ようやく正しい方向に進んでいると思われます。これからインフレをぜひ、抑えてもらって経済を巡航起動に戻してほしいです。


とりあえず当面は利上げ継続が、FRBの行動です。また0.75%利上げはしないでしょう。6,7月は0.50%利上げ、あとは9,11,12月の利上げをどれくらいにするかが当面の焦点となりそうです。


また何度も書きますが、FRBの動向はインフレ動向次第で決まるので、インフレ指標に要注目です。


7.経済指標:小売売上高、予想を上回るも中身は悪い


先週1週間の重要な経済イベント、指標です。

マネックス証券より参照


小売売上高の発表がありました。予想1.0%に対し結果0.9%、コア指数は予想0.5に対し、結果0.6。ただし前月分が修正されています。大事なのは、売上高自体は好調だということですが、この指標がインフレを考慮していないということです。要はインフレで価格上昇した分だけ売上高は上がっているように見えますが、実質的には数量とか利益率が減っているのではないか、ということはこの指標からは見えないということです。


それを裏付けるように、その後発表されたターゲットの決算では利益率の悪化を発表しています。売上は上昇しても、利益率が悪くなって利益が稼げないのならば、何の意味もないということです。


8.米国家計の債務返済比率:歴史的にはまだ低いが、じわじわと上昇傾向


米国の家計の債務返済比率です。2021年第4四半期時点で9.34となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.34は歴史的に見てもまだ低い水準です。貯蓄率は少しづつ減っていますが、リーマンショックのように最悪な状況ではないと考えられます。ただし現在、高インフレが家計を圧迫していると見られ、少しづつ悪化、上昇しています。


インフレがじわじわと家計を圧迫しているのは間違いないと思われます。「働けど働けど生活は向上しない」という言葉が当てはまる状況だと推測されます。株価は6ヶ月後の経済状況を見ていると聞きますが、6ヶ月後の経済状況は、インフレにより圧迫された家計、企業業績が悪くなっている真っ只中にあると思われます。それを考えると、FRBの金融緩和の支援を受けられない中、今の株価も良くならないのは当然かなと考えられます。


9.今後の企業EPS:企業業績は強いが、見通しは懸念

今後の企業業績について考えます。

FACTSETより参照


小売大手のウォルマート、ターゲットが利益率の悪化を見通したことで、企業決算の見通しに暗い影が忍び寄っています。今回の決算ではアップルも上海のロックダウンなどの影響を受けるといっていましたし、今後の企業利益見通しはなかなか厳しいものになるのかもしれません。


10.まとめ:今後の米国経済と株式市場とVTI


これまでの事実を考察し、もう一度今後の米国株式市場について考えてみます。


現在の状況  ⇒  弱い。株価は反発も期待できますが、やはり弱い状況に変わりはないと思われます。急落を見ると、まだ終わっていないのかなと感じます。

今後の予測  ⇒  今週は反発も期待できますが、弱さは燻り続けると思います。株価は反発しても再び下落する、という流れは続く可能性があると考えています。中長期では株価が上昇する可能性は出てくると思いますが、短期的にはかなり難しい相場になると私は考えています。


株価の上昇、下落の可能性  ⇒  今週は反発する可能性はあるとも思います。ただしその後、例えば今週に上昇しても来週、再来週に下落するということは普通にありえると考えています。


今後の投資行動  ⇒  今週は株を売ろうと考えています。現在8割ほど株を持っていますが、これを減らします。株価がまだ下がる危険を感じてきましたので、株の割合を減らします。中長期では株は上昇する可能性はあります。それがいつかはわかりません。


株価が上る可能性は排除せずとも、下がる可能性もかなりあるので、リスクリウォード的にかなり分が悪いと考えます。株を買うのだったら、為替でドル売り円買いポジションを持ったほうが良いのかなと考えています。