目次
- 1.VTIと主要指数の動き:やや上昇
- 2.VTIのチャート:高値を更新できない状況
- 3.主要指数の予想PER:歴史的に高い水準が続く
- 4.米国10年債利回り:FRBの利上げが見込まれる割には上昇しない
- 5.FRBの動き:特になし
- 6.経済指標:今週は雇用統計、ISM
- 7.米国家計の債務返済比率:ここは大丈夫
- 8.今後の企業EPS:2022年は伸びる予想
- 9.まとめ:今後の米国経済と株式市場、そしてVTI
米国株式市場の状況とVTIの動きを考察し、今後の投資行動の基にしようという記事です。まずは結論を述べたいと思います。先週、VTIの株価はやや上昇しましたが、今後もこのように横ばいの展開が続くのではないかと考えています。理由は、2022年にFRBが2〜4回程度利上げをするのでPER水準が下がること、しかし企業業績は好調なのでPER水準が下がっても、株価を下支えすると考えられるからです。
次にこの結論に至った要因を1つずつ書いていきます。
1.VTIと主要指数の動き:やや上昇
まずはVTIとS&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の先週1週間の動きです。
VTI+0.32%、S&P500+0.85%、NYダウ+1.08%、ナスダック-0.05%、ラッセル2000+0.21%となりました。先週は全体的に小動きでした。NYダウが強く、ナスダックが弱い展開。この展開は最近良く見るパターンです。2022年はバリュー>グロースの展開となるのでしょうか。
2.VTIのチャート:高値を更新できない状況
次にVTIのチャートです。
VTIはなかなか高値を更新できずにいます。現在は以前の高値で押し返されています。広瀬隆雄さんは2022年の米国株を0%成長と見込んでいますが、もしそれが正しいのなら、ここから上昇しないことになります。
3.主要指数の予想PER:歴史的に高い水準が続く
主要指数の予想PERです。ウォールストリート・ジャーナルより参照しています。S&P500の予想PERは22.82、ナスダック100は30.25、NYダウは18.76、ラッセル2000は31.14となっています。
依然として歴史的に高い水準です。FRBの利上げが見込まれる中で、この高いPER水準が維持できるのか、大きな疑問を感じます。企業利益は上昇しますが、金利上昇も確実なので、PER水準は低下するものと思われます。
4.米国10年債利回り:FRBの利上げが見込まれる割には上昇しない
株価に大きな影響を与える、投資の大事な指標の米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、1.512%となっています。
10年債利回りはやや上昇しました。ただ2022年は金利の上昇が見込まれる割には、大きく上昇していない状況です。このあたり株価に支援的な動きとなるのか注目です。
市場の2022年6月15日時点の金利予想です。
大きな変化はありませんが、2回の利上げ0.50〜0.75%の予想が一番高いです。前回はわずかに残っていた利上げなし0.00〜0.25%の予想が消滅しています。
市場の2022年12月14日時点の金利予想です。
こちらもあまり変わりはないのですが、やや金利上昇のペースが遅くなる方向にシフトしています。依然として0.75〜1.00%への利上げが一番多いのですが、前回の32.1%から30.3%へと低下。0.50〜0.75%への利上げ予想が18.8%から23.8%へと上昇しています。
これは2022年後半のインフレ率が下がるという予想を反映したものだと思われます。株式市場にとっては利上げ回数が少ないほうがいいので、ひょっとすると利上げが2〜3回で済むと株式市場にプラス支援になるのかもしれません。
6.経済指標:今週は雇用統計、ISM
先週1週間の重要な経済イベント、指標です。先週は重要指標はありませんでしたので、今週の予定です。
2022年が始まり、経済指標も全開です。年初から雇用統計、ISMと立て続けに重要指標の発表があります。
7.米国家計の債務返済比率:ここは大丈夫
米国の家計の債務返済比率です。2021年第2四半期時点で9.18となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.18は歴史的に見ても低い水準です。現在、消費意欲は旺盛で現在はもう少し上昇していると思いますが、まだまだ安全だと思います
8.今後の企業EPS:2022年は伸びる予想
今後の企業業績について考えたいと思います。
2022年も企業利益は伸びる予定です。企業利益とFRBの利上げのシーソーゲームが2022年のテーマとなりそうです。
9.まとめ:今後の米国経済と株式市場、そしてVTI
これまでの事実を考察し、今後の米国株式市場とVTIについて考えてみます。いくつかのシナリオがあると思います。
まず今週ですが、基本は横ばい、株はホールドで見込んでいます。ただ慎重にみると、下落する可能性もあり、少しポジションを減らしてもいいのかなと思います。というのもPER水準が高いので、これ以上の上昇は少し難しいと思われます。例えば80〜90%の株式保有、10〜20%の現金保有くらいがいいのかなと思ったりします。
次に3ヶ月後ですが、横ばいじゃないかと考えています。やはりPER水準の高さが気になります。2022年は利上げが確実なので、PER水準は下落すると思われます。しかし企業業績は好調なので、大きな下落もない。
そう考えると高くなったら売り、下落すると買い戻す方法も1つの手かなと思います。