ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

【12月6〜10日】米国株式市場の状況とVTIの動き。株価は上昇するも、一大イベントFOMCを控え注意が必要。

目次


米国株式市場の状況とVTIの動きを考察し、今後の投資行動の基にしようという記事です。まずは結論を述べたいと思います。先週1週間で株価は大幅上昇しましたが、12月14,15日にFOMCがあり、油断は全然できないのが結論です。先週に発表された消費者物価指数は市場予想通りでしたが、高いインフレ率が続いていることが確認されました。


このインフレを抑えるためにFRBが、FOMCで予想以上にタカ派に転向する可能性があります。市場が予想する以上のメッセージが発せられる可能性があるので、注意は必要だと思います。何事もなければ、株価は上昇するかもしれませんが、今回のFOMCは重要なイベントです。


次にこの結論に至った要因を1つずつ書いていきます。


1.VTIと主要指数の動き:株価は大幅上昇、NYダウはダウ強く、ラッセル弱い

まずはVTIとS&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の先週1週間の動きです。

f:id:masahiro_e:20211212065856p:plain
Investing.comより参照


VTI+3.61%、S&P500+3.82%、NYダウ+4.02%、ナスダック+3.61%、ラッセル2000+2.33%となりました。オミクロン株の脅威が薄らいだことにより、株価は上昇。オミクロンショックで下落した株価を取り戻しています。


ただし相変わらず小型株は弱いです。最弱の分類です。果たして1月効果はあるのか。15日以降、1月にかけて、今まで売られていた小型株が買い戻される展開も捨てきれません。


NYダウは堅調で+4.02%。バリュー系が買われています。


2.VTIのチャート:50日移動平均線で反発

次にVTIのチャートです。

f:id:masahiro_e:20211211151325p:plain
Investing.comより参照


VTIは50日移動平均線で反発しています。S&P500は最高値を更新しましたがVTIはまだ。VTIはS&P500に比べ、小型株の比率が高いので、小型株に足を引っ張られています。1月効果がでてくれば、VTIも過去最高値を更新するかもしれません。


3.主要指数の予想PER:過去の平均より高い状況続く

主要指数の予想PERです。ウォールストリート・ジャーナルより参照しています。S&P500の予想PERは22.17、ナスダック100は29.98、NYダウは18.49、ラッセル2000は30.23となっています。過去の平均より高いです。FRBが緩和縮小を始める現在、PERがどうなるのか注目です。


4.米国10年債利回り:1.5%を挟んで動く。金利引き上げが予想される中、低い金利の謎。市場は金利引き上げを意識

株価に大きな影響を与える、投資の大事な指標の米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、1.482%となっています。

f:id:masahiro_e:20211211151504p:plain
Investing.comより参照


10年債利回りは1.5%を挟んでウロウロと。緩和縮小が予想される中、金利が低いのはどういうことなのか。株価の下落を予想して、マネーが国債に避難しているのか。2022年の政策金利が2〜3回引き上げられるのは確実ですが、金利が低いままなのは少し謎めいていて、不安にさせます。


市場の半年後(2022年6月15日)の金利予想です。

f:id:masahiro_e:20211211151751p:plain
cmegroupより参照


前回に比べ、0.25~0.50%への1回の利上げ予想が45.2%から43.3%に低下、一方、0.50~0.75%への2回の利上げが25.6%から28.6%に上昇しています。総じて、FRBは利上げ回数を上昇させるという方向に、市場の予測は流れています。


次に市場の1年後(2022年12月14日)の金利予想です。

f:id:masahiro_e:20211211151810p:plain
cmegroupより参照


こちらも政策金利の引き上げが早まる予想です。前回で一番多かったのは2回の利上げ、0.50〜0.75%の29.9%でしたが、今回一番多かったのは3回の利上げ0.75〜1.00%で29.7%でした。4回の利上げ予想も増えています。


5.FRBの動き:FOMC開催。インフレ退治のために予想以上のことをやる可能性に注意。

FRBの動きです。12月14,15日にFOMCが開催されます。テーパリングの終了を早め、6ヶ月から3ヶ月に変更されるのは既定路線です。怖いのは、政策金利の上昇を市場が脅威に感じること、予想外のメッセージが発せられること。


FRBは明らかにインフレを退治する必要に迫られています。政治的にも国内世論的にも、また事実としてインフレは高いです。雇用が回復した今、問題は明らかにインフレ率の高さです。正直、ここまでインフレを高くした原因はFRBの緩和路線にも一端の責任があります。2021年の時点でテーパリングの終了をくらいに持っていけていれば、インフレは収まっていたかもしれません。


ただし、雇用とのバランスもあるので、事後にどうのこうの言ってもしょうがありません。問題はここまで高くなったインフレを抑えるには、FRBは少し乱暴な政策を取る可能性があるということです。将来、手に負えないインフレを招くよりも、現時点で少し乱暴な政策を取ったほうがリスクは小さくなります。ただし株式市場には多少のショックを与えるでしょうが。


とにかく14.15日のFOMCは、FRBはよりタカ派にならないか、注意が十分に必要だと思います。


6.経済指標:消費者物価指数で高いインフレが続いていることが確認された

先週1週間の重要な経済イベント、指標です。

f:id:masahiro_e:20211212073645p:plain
YahooFinanceより参照


注目の経済指標、消費者物価指数の発表がありました。ほぼ市場予想だったのですが、インフレ率は高いまま、というのが確認され、FRBはインフレを抑える政策を取ることが確実視されています。インフレは米国で実際に起こり、かつ継続している、この事実はかなり重いです。問題はFRBがどれくらいのスピードで政策金利を引き上げるのか、そして市場を驚かせずに政策金利を引き上げられるかではないでしょうか。


7.米国家計の債務返済比率:ここはまだ大丈夫

米国の家計の債務返済比率です。2021年第2四半期時点で9.18となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.18は歴史的に見ても低い水準です。現在、消費意欲は旺盛で現在はもう少し上昇していると思いますが、まだまだ安全だと思います

8.今後の企業EPS:企業業績は堅調が予想されている

今後の企業業績について考えたいと思います。

f:id:masahiro_e:20211205071325p:plain
FACTSETより参照


FRBの金融政策は波乱含みですが、企業業績は相変わらず強いです。金融政策と企業業績、株価を支える両輪のうち、企業業績のほうはしっかりしています。あとは金融政策次第ということになります。ですからFRBの動きには要注意だということです。


9.まとめ:今後の米国経済と株式市場、そしてVTI

これまでの事実を考察し、今後の米国株式市場とVTIについて考えてみます。いくつかのシナリオがあると思います。基本はまずFOMCを待つこと。波乱含みなので、株価が下落するリスクもあります。まずはFOMCをしっかり確認することが重要だと思います。


FOMCの大筋の予想はテーパリングの早期終了ですが、インフレを抑えるために利上げを早めるというメッセージが出されると株価にはマイナスです。そうならないように、パウエル議長がうまくやる可能性がありますが、政治的、世論的な様々なプレッシャーがあります。あえて厳しいメッセージを出して、インフレを退治する決意を示すかもしれません。


何事もなく終われば、株価は上昇するかもしれません。ですからそこに賭ける選択肢もありますが、慎重にやったほうが良いと思われます。


3ヶ月後を予想すると、企業業績はおそらく良いです。国民も金を持っています。経済の下地は良い。問題はFRBのインフレ抑制のための政策です。現在2022年は3回の利上げ予想ですが、これが4回になるとどうなるか。株式市場はショックを受けないか。FRBはインフレを退治するためには、株価を犠牲にする手段も取らざるを得ないときもあると思います。


めちゃくちゃに弱気になる必要はないと思いますが、注意しながらの相場参加を続けたいと思います。