ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

【11月22〜26日】米国株式市場の状況とVTIの動き。急落、変異株の詳細が分かるまでは弱い相場が続くか。希望はパウエル発言。

目次


米国株式市場の状況とVTIの動きを考察し、今後の投資行動の基にしようという記事です。まずは結論を述べたいと思います。株価は急落し、変異株の詳細が分かるまでは弱く推移しそうです。変異株は人の免疫をすり抜けるというニュースもありますので、脅威となるのかどうなのか。詳細が分かるまでは、株式市場は強くなれないと思います。株式市場は未知の要素を嫌います。


VTIは50日移動平均線に向かって下落。この勢いだとタッチしそうな状況です。そこからはいつものように反発するのか、少し割り込んで反発するのか、それとも今回は今までのパターンを無視するのか。どうなるのか、変異株の詳細がはっきりしない限りはわからない。わからなければ、ズルズルと下げる可能性もあるかもしれません。


希望はパウエル発言の発言。今週はパウエルさんの議会証言がありますので、何か市場を安心させる発言がでてくれば市場はどう動くのかわかりません。


次にこの結論に至った要因を1つずつ書いていきます。


VTIと主要指数の動き:株価は大きく下落

まずはVTIとS&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の先週1週間の動きです。

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Investing.comより参照


VTI-2.27%、S&P500-2.20%、NYダウ-1.97%、ナスダック-3.52%、ラッセル2000-4.15%となりました。先週は株価が大きく下げています。特に小型株。金曜日に1日で−3.67%ときつい下げを記録しています。NYダウは比較的に県庁ですが、それでも大きなマイナスです。


先週はコロナ変異株のニュースで激震が走りました。この変異株はまだ詳細はわかっていないのですが、人の免疫をすり抜けて感染するなど、かなり脅威的な変異株と報道されています。ただし実際のところはどうなのか、現時点ではまだわかっていません。


株式市場は未知のことを嫌いますので、変異株の詳細がわからない現時点では、不安になっている状況。アメリカは木曜日休日、金曜日は半日休日と市場参加者が少ないところを仕掛けてきたと見ることもできます。しかし現実的にここまで株価が下げると、変異株の詳細がわかるまで、この不安相場は続くと思われます。


VTIのチャート:50日移動平均線に向かって下落

次にVTIのチャートです。

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Investing.comより参照


金曜日に大きく下落しています。気になるのはいつものように50日移動平均線を意識して動くかどうか。現時点では50日移動平均線に向かって下落しています。勢い的にはタッチする可能性が高いです。


いつものパターンなら50日移動平均線付近で反発が期待できますが、今回は事情が異なる可能性があります。もし変異株が脅威なら、アメリカももう一度外出制限が適用されるかもしれません。そうなれば経済下落圧力があります。


そうなるとFRBの緩和を期待しますが、現時点でインフレは進んでいますし、政治的にインフレ圧力を抑えるというメッセージが出ていますので、FRBとしてもなかなか緩和と言い出しづらい可能性があります。もし金融緩和がでてこないのであれば、50日移動平均線無視で大きく割り込む可能性もあります。


主要指数の予想PER:下がるがまだ歴史的には高い

主要指数の予想PERです。ウォールストリート・ジャーナルより参照しています。26日時点でNYダウは18.45、24日時点でS&P500の予想PERは22.45、ナスダック100は30.37、ラッセル2000は32.62となっています。ただし24日時点ですので、株価が大きく下がった26日時点では、もう少し下げているはずです。


米国10年債利回りと、半年後1年後の金利予想:10年債利回りは急落

株価に大きな影響を与える、投資の大事な指標の米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、1.482%となっています。

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Investing.comより参照


10年債利回りは急落。前回は1.548%でした。上がったと思えば下がる展開を繰り返しています。変異株の話題で米国債への買いが入ったとニュースで見ますが、原油価格の急落でインフレ懸念が和らいだことも原因かもしれません。10年債利回りが急落しても株価はマイナス。リスク資産から安全資産への逃避が見られます。


市場が予想する半年後と1年後の政策金利です。

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半年後、cmegroupより参照


2022年6月15日の予想です。現在の0〜0.25%の予想が37.7%、0.25〜0.50%の予想が44.1%となっています。市場は2022年6月までに最低1回の利上げを予想していることになります。私からすると、1回もないと思いますがどうでしょうか。原油価格の急落はインフレ懸念を若干和らげますので、2022年の12月までには1回はあるでしょうが、6月はテーパリングが終わったばかりなので、まだ金利引き上げは早い気がします。ただしインフレがこれ以上上昇するようだと、早めの金利引き上げをすると思います。

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1年後、cmegroupより参照


2022年12月14日の予想です。現在の0〜0.25%の予想が5.6%、0.25〜0.50%の予想が19.9%、0.50〜0.75%が31.3%、0.75〜0.10%が26.3%となっています。来年の12月までになると、95%の確率で1回の利上げ予想です。一番多い予想は2回の利上げとなっています。現在の景気が続けば2回くらいが妥当なのかもしれません。


ただしこれもコロナ変異株に影響を受けます。もし変異株が猛威をふるえば、利上げも遠のくでしょう。まずは今回のコロナ変異株をしっかり見極まえることが大事です。


FRBの動き:議長再任も、変異株の話題がでたので市場運営は難しいものになる

FRBの動きです。総裁はパウエル議長が再任されました。ブレイナードさんは副議長に任命されています。パウエルさんの再任は織り込み済みでした。気になったのはパウエルさんがインフレ退治を重視する発言をしたこと。これは株式市場にとってはマイナスだと思います。おそらく政治的な圧力があると思われますが、インフレ退治=引き締めですので、株式市場にとってマイナスです。


ただし再任後にコロナ変異株のニュースが出ましたので、この変異株が猛威をふるいそうだど、金融引締め路線を変更するかもしれません。ハト派のブレイナードさんもいますし、緩和路線への変更はやりやすいはずです。ただし緩和路線に変更するにはインフレの沈静化が条件です。もしインフレが抑えられずに、コロナ変異株が猛威をふるえばスタグフレーションが現実味を帯びます。パウエルさんは卓越した市場運営をしてきましたが、これからはさらに難しい舵取りを求められそうです。


経済指標:インフレ沈静化の兆候?

先週1週間の重要な経済イベント、指標です。

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YahooFinanceより参照


先週の経済指標は今となっては霞みますが、実は先週のPCEデフレーターはかなり重要だったと思います。というのもこのインフレ指標であるPCEデフレーターは、市場予想とほぼ同じ水準だったからです。市場予想を上回らなかったことで、「インフレはあまり高くない?」と市場が思ってもおかしくはなく、原油価格の下落とともに、インフレの沈静化が見られる兆候かもしれません。


米国家計の債務返済比率:これはまだ大丈夫

米国の家計の債務返済比率です。2021年第2四半期時点で9.18となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.18は歴史的に見ても低い水準です。現在、消費意欲は旺盛で現在はもう少し上昇していると思いますが、まだまだ安全だと思います。


今後の企業EPS:順調に伸びる予想も、変異株次第で変更もある

今後の企業業績について考えたいと思います。

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FACTSETより参照


FACTSETが11月に発表している数値です。11月時点での予想ですので、もし変異株が猛威をふるえば変更される、という点は重要です。株式市場は将来の予想ですので、変異株の影響で企業活動に影響がでるのであれば、当然予想は変更されます。


今後の米国経済と株式市場、そしてVTI:今週は基本弱そうだが、パウエル発言がどうなるか。

これまでの事実を考察し、今後の米国株式市場とVTIについて、今週の複数のパターンを考えてみます。


まず今週は弱い相場になると考えられます。金曜日の急落はすぐに収まることは考えづらいです。まだ変異株で騒がれて1日ですので、急にこの話題が収まることは考えづらい。最低でもこの変異株の詳細が分かるまでは、動揺は収まらないと思います。ワクチンは効くのか、またこの変異株に対するワクチンを開発できるのか。詳細がわからないことにはどうしようもないです。この詳細が分かるまでの期間、株価は強くはならないと思います。


一方で今週はパウエル議長の発言があります。もし変異株について良い発言があれば、一旦落ち着くか。「政策金利の引き上げを遅らせる用意がある」みたいな発言がでれば、株式市場は好感するかもしれません。ただ現時点ではインフレ懸念は消えていませんし、政治的圧力もあるので、インフレを抑えることを優先する発言をせざるを得ないかもしれません。容易に緩和路線はできないのかもしれません。


なので今週は基本的に下だと考えています。VTIは50日移動平均線にタッチするのではないかと考えています。タッチした後にどうなるかかなと。下げたところで買いたいところですが、フルインベストメントはやめたほうがいいのかなと考えています。