ひろ投資の大原則ブログ

株と国債の長期分散投資、守りも重視します。

【11月8〜12日】米国株式市場の状況とVTIの動き。米国経済の強さとインフレ懸念のせめぎ合い。

目次


米国株式市場の状況とVTIの動きを考察し、今後の投資行動の基にしようという記事です。まずは結論を述べたいと思います。先週の株価は、先々週の大幅上昇による一服感と、消費者物価指数の上昇により下落しました。現在の株式市場の状況は、米国経済が強いという基本的なプラス要因と、高インフレが続くのではないかというマイナス要因のせめぎ合いだと思います。どちらが勝つのかというより、どちらの顔を見せるのかによって株式市場の雰囲気はかわりそうです。


今週の株価は横ばい〜やや下落を予想します。大きく動かない。理由は先ほどのプラス要因とマイナス要因により、どちらにも大きく動けない状況になっているからです。個別株は情勢に応じて売ったり買ったりはあると思いますが、VTIなどのインデックスは売ったり買ったりする時期ではないと思います。


次にこの結論に至った要因を1つずつ書いていきます。


1.VTIと主要指数の動き

まずはVTIとS&P500、NYダウ、ナスダック、ラッセル2000といった、主要指数の先週1週間の動きです。

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Investing.comより参照


VTI-0.25%、S&P500-0.31%、NYダウ-0.63%、ナスダック-0.69%、ラッセル2000-1.05%となりました。株価の一服感と金利の上昇、インフレ懸念。調整理由はいろいろありますが、まずはけっこうな上昇が続いたことが主因でしょう。次に消費者物価指数の予想を上回る上昇による金利高。これは懸念ですね。このインフレ懸念がくすぶる限り、本質的な問題は解決されないと思います。


2.VTIのチャート

次にVTIのチャートです。

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流石に調整が入った感じです。50日移動平均線からかなり離れています。個人的にはこのまま横ばいが続いて、50日移動平均線にタッチしてもらう展開が望ましいです。


3.主要指数の予想PER

主要指数の予想PERです。ウォールストリート・ジャーナルより参照しています。S&P500の予想PERは22.41、ナスダック100は29.89、NYダウは18.67、ラッセル2000は33.52となっています。先週より若干下がっていますが、歴史的にはまだ高い水準です。


4.米国10年債利回り

株価に大きな影響を与える、投資の大事な指標の米国10年債利回りの動きです。先週金曜日時点で、1.570%となっています。


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11月5日時点(金曜日終値)では1.455%でしたので、上昇しています。今回の株価下落は10年債利回りの上昇が背景にあると思います。ただし上昇後、上げ止まったので、株式市場的には一息つけた感があります。


今後の10年債利回りですが、基本的には上方向ではないかと思います。下落する場面もありますが、やはり将来的に金利を引き上げるのは間違いないので、行き着くところは金利上昇だと思います。ただ上昇ペースが問題なので、緩やかな金利上昇にとどまれば株式市場もびっくりしないですむと思います。そうできるかどうかは、FRBの手腕1つです。


5.FRBの動き

FRBの動きです。今回はポイントは2つ。1つはFRBはインフレ予想を読み違え、金利政策を間違えているのではないかということ、2つ目はFRBの総裁人事です。


まずFRBはインフレを一時的としていますが、実は違っていてこのまま高インフレが続き、制御不能に陥るのではないかという懸念です。もし対応が間違えていたとなると、これは株式市場にとっても経済にとっても大問題です。1980年代に高インフレが続いて、それを抑えるために政策金利を10%以上にしたことがありますが、しょうがないとはいえ、異常に高い政策金利は経済に大打撃を与えます。経済は悪いと企業業績も悪く、株式市場にも悪影響を与えます。


次にFRB総裁人事。現在、パウエル議長の再選が微妙な空気になっています。有力候補は依然としてパウエルさんですが、ハト派のブレイナードさんも候補にあがっています。株式市場としては正直、安定感のあるパウエルさんのほうが良いと思います。ブレイナードさんも能力はあると思いますが、懸念点は①現時点では議長として未知数なこと、②ハト派として捉えられていることです。現在の高インフレが続いた場合、ハト派対応で良いのかという疑問があります。


6.経済イベント

先週1週間の重要な経済イベント、指標です。

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YahooFinanceより参照


今回の消費者物価指数は驚きでした。予想を上回る6.2%。想像以上にインフレが進んでいることがわかりました。一時的一時的と言われながら、どれだけ時間が過ぎたのか。本当に一時的なの?という懸念が生まれても不思議ではありません。ただしパウエル議長の能力は高いので、本当に一時的な可能性もあります。そうなれば、金利を緩やかに引き上げられるので株式市場には大きなプラスです。


しかし年末商戦を控えた現在は、物流の逼迫も大きいと思われ、しばらくはインフレが続きそうな感じもします。もし2022年の3,4月まで高ければ、これは危ない兆候かもしれません。


7.米国家計の債務返済比率

米国の家計の債務返済比率です。2021年第2四半期時点で9.18となっています。コロナ前の2019年頃は9.5を超えるのが普通でしたので、今の9.18は歴史的に見ても低い水準です。現在、消費意欲は旺盛で現在はもう少し上昇していると思いますが、まだまだ安全だと思います。


8.今後の企業業績

今後の企業業績について考えたいと思います。まずは年末商戦。年末商戦はかなり良いと思われます。ただし旺盛な需要に供給が追いつかなければ、予想外に悪いかもしれません。基本的には良いはずです。また旅行・観光も回復する予想です。全般的に良いのはわかりますが、後は伸び次第。予想より伸びが低ければ株価の調整要因となりそうです。


9.まとめ:今後の米国経済と株式市場、そしてVTI

これまでの事実を考察し、今後の米国株式市場とVTIについて考えてみます。いくつかのシナリオがあると思います。


まず大幅上昇はちょっと考えにくい。株価の大幅上昇があったあとですし、インフレ懸念がある。一番ありそうなのが、横ばい。株価上昇、インフレ懸念はありますが、米国の経済が強いのは間違いないので、企業業績がよく、株価にはプラスです。マイナス要因とプラス要因が相殺しあって、横ばい状態が続きそうな感じはします。


次に急落もないと思います。これだけ年末商戦が盛り上がろうというときに、それはどうなのか。ただし株価の調整程度の下落はあってもおかしくはないです。というのもインフレ懸念に、米国の債務上限問題などが再び脚光を浴びれば、マイナス要因が強くなり、株価が下落する原因になります。


総合的に考えると、今週の株価は横ばい〜やや下落、という感があります。ただし株を売るという選択肢はないです。個別株で売ることはあっても、VTIを売ることはないです。基本的なベースは米国経済は強い。これは根本的なものです。