IBMは米国のIT企業です。老舗の企業らしく24年の連続増配記録を持ちます。ただ業績はマイクロソフトやグーグル、アマゾンに押されているのか停滞中です。株価の状況は輝きを失っている状況です。しかし2019年に巨額の買収資金でレッドハットを買収。クラウド事業を中心に巻き返しを図っている状況です。そんなIBMの配当金と増配率の推移をまとめてみました。24年連続増配ですが、最近の業績を反映しここ数年の増配率は低いです。
☆目次
a.IBMの配当金推移
IBMの2005〜2019年の配当金推移です。順調に右肩上がりです。配当金が増えなかった年はありません。10年前のリーマン・ショック時の2009年に投資していたら、配当金は約3倍になっています。現在IBMの業績と株価は停滞中ですが、IBM頑張っているなと感じる配当金実績ではあります。
b.IBMの増配率推移
IBMの2005〜2019年増配率の推移です。2016年までは10%を超える増配率でしたが、2017年よりは3,5,7%台の増配率と寂しい数値となっています。IBM絶好調時の2006年ころは40%や30%という驚異の増配率を叩き出しています。その頃に株を持っていたら良かったと思いますが、株価のバリュエーションも高かったのでしょう。
IBMに昔のような高い増配率を期待するのは禁物でしょうか。そうなるには売上や利益も10、20%の成長を見せないといけません。しかし成長率の高いレッドハットを買収したとはいえ、レッドハットのクラウド事業はIBMの一部門に過ぎません。既存の成長率の低い事業も抱えているので、もし成長したとしてもIBM全体の成長率は一桁台にとどまるのではないでしょうか。
先のことは誰にもわかりませんが、現時点での低い株価は、株式市場がIBMに高い期待を抱いていないことを示しています。
c.IBMの株価と配当利回り(2020.3.6)
株価は140ドルを中心に行ったりきたりの展開です。コロナウイルスの影響もあるので、株価は売られまくっています。ここ5年で株価は成長するどころか下がっているのが、ホルダーとしては悲しいです。はっきりいって株式市場からは評価されていないのがわかります。
IBMの現在の配当利回りは5.07%です。5%はかなり高い配当利回り。アルトリアやロイヤルダッチシェルなんかは8%もあるので、それに比べると低いですが5%でも十分に高いです。個人的には痩せても枯れても、あのIBMが5%の利回りならばいいんじゃないかと考えています。絶対に今の利回りを保証してくれるわけではありませんが、業績は少なくとも横ばいは維持しそうなので、今の水準を保ってくれれば個人的にはOKです。5%の利回りはおいしいと思うし、数%でも増配してくれる可能性もあるわけだから、損はしないのではないかと考えています。
d.配当金投資家から見たIBM
個人的な感想ですが、IBMはこれからも連続増配は可能だと思います。レッドハットの買収によりクラウド事業が伸び、EPSも伸びる。ただかつてのように20%を超えるような増配率は無理です。というのもクラウドは競争が激しく、アマゾンやマイクロソフトなどモンスター級のライバルがいます。
またIBMのクラウド以外の事業が伸びる兆候は見られません。クラウドが引っ張っても、他の事業が伸びなければ、全体の伸びは小幅にとどまると思います。現実的に考えると、IBMが増配しても小幅にとどまざるをえないと思います。ない袖は振れません。
しかしIBMは高配当銘柄で貴重なIT企業です。高配当銘柄を集めるとどうしても、タバコ、石油、通信、公益といった分野になります。高配当だけを狙うならこれらの銘柄だけに投資することになります。ただいろいろな業種への分散投資という意味で、IBMへの投資は分散投資というメリットがあります。
IBMは連続増配銘柄であるし、まだまだ稼ぐ力はあります。配当金は大きく伸びないかもしれませんが、下がることもないと考えています。
★参考サイト:
★参考資料1995〜2019までの配当金と増配率の推移